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上野の森美術館 ツタンカーメン展


10/12に東京、上野の森美術館で開催されているツタンカーメン展に行ってきました。
しかし、長時間の待ち時間の末に混み混みの中で観るのは、避けたい。やりたくない。

「チケットを取って観て、家に帰るまでが美術鑑賞」

と、いうことでまずはHPで混雑の様子を調べてみました。

http://kingtut.jp/

ここのHPを観れば、現在の混雑状況がリアルタイムが表示されています。最近はかなり混雑が解消されているようで、平日なら30分待ちくらいで入れるようです。前売り券を買って、整理券を取るのが1番良いかも。
私たちは、金曜日の12:40に待ち合わせ、13:30~13:45入場分の整理券を取りました。入場後は、ゆったりと鑑賞することができました。会期終了真近になると、超絶に混むようになるので、10月、11月、特に平日は狙い目かもしれません。



ツタンカーメン展 入口

さて、ここからが本編です。
整理券入場者の列からエンタランスホールに入り、3分ほどの紹介PVを見るのは、まるでアミュージメントパークのよう。そして、展示室の扉が開かれると、暗い廊下の先で、もの凄いオーラを放った”ツタンカーメンの立像”が入場者を出迎えてくれます。



古代エジプトの王権は、紀元前3200年ごろ、ナルメルが上下エジプトを統一して初代エジプト王となったのが始まりでした。ツタンカーメンは第18王朝のファラオとなります。

10歳で即位し、19歳で亡くなった、この少年王のプロフィールは未だに謎に包まれています。どこで生まれ、どのように育ち、誰と結婚し、どう死んだか。けれども、絵文字ヒエログリフ、神殿や壁に書かれた碑文、墓から見つかった副葬品、ゴミ塚からは、日々の生活の様子が、埋葬時に供えられた花からは亡くなった季節が、そして、ミイラの骨のDNA鑑定やCTスキャンなどの科学技術やエジプト学者たちの研究の成果のおかげで、現在ではその謎も少なからず解明されているようです。

ツタンカーメン展の展示物、全122点は、おおむね、その時代別に展示がなされていました。
ツタンカーメンが現れる以前の展示物で一際、目をひくのは、彼の祖母チュウヤの人型棺でした。チュウヤは、エジプト史上、最も楽園に近づいたといわれるアメンヘテプ三世(ツタンカーメンの祖父)の妻、ティイの母にあたり、平民にも関わらず、王と変わらぬ豪華な棺に納められたというのは異例のことでした。アメンヘテプ三世がいかに妻の実家を大切にしていたかが分かりますね。



棺の全面には、ミイラを守護する神々の像や呪文が刻まれてます。
観覧者は、チュウヤの胸の部分に羽根を広げる天の女神ヌウト、側面にジャッカルの頭を持ったミイラ作りの神アヌビス。足の部分に女神ネフティス、その姉妹イシスの姿を見ることができます。


  ミイラ作りの神アヌビスです。

  ついでですので、当時のミイラの製法について記しておきますと、
  ミイラ職人たちは、まず、遺体の腐敗がはじまらないうちに、一番水分の多い、脳と内臓をすばやく取り除く作業を行いました。その工程は、こんな感じです。

1.鼻孔に長い針金を差し込む。
2・鼻腔と両眼窩との間にある骨を砕き、そこに針金を入れて泡立て器のように脳をシェイクし、(げ…)、逆さまにした遺体の鼻から脳を流しだす。
3.脳を取り出してから、左の脇腹に切り込みを入れて、胃、肝臓、腸、腎臓を取り出し、乾燥させてカノポス壺の4つのミニチュア棺に納める。

 古代エジプトでは、「死亡から七十日で死体の処理を完了させる」という大原則があったそうです。これは、豊穣・再生のシンボルの星座シリウスが、地平線に隠れて見えない日数と一致し、七十日すると、地平に隠れていた星は、再び空に見えるようになることから、七十日すると人は冥界に蘇るという思想があったようで、死者が死体を蘇らせる呪文を唱えるときに備えて、心臓だけは体に残されたそうです。
ちなみに、今回の展示会ではツタンカーメンの内臓を納めた棺型カノポス容器がきています。美しいですね~。


              ツタンカーメンの棺型カノポス容器

ただ、カノポス容器は、ツタンカーメンの兄スメンクカラーの物だといわれています。容器に彫られた顔がツタンカーメンとは違うそうです。そういえば、ツタンカーメンはもっとイケメンだったような……早逝した少年王のカノポス容器はミイラ作りに必要な七十日後の埋葬までに間に合わなかったのかもしれません。


下の写真は、展示物の1つで、ツタンカーメンの父、アクエンアテンの胸像です。けれども、この胸像、これまでの丹精な顔だちの王たちの胸像に比べ明らかに異形だとは、思いませんか。
指が異常に長い、顎が尖る、脂肪の付き方が不自然という特徴から、彼はマルファン症候群と言われる遺伝的な奇形だったのではないかとの推測があるようですが、決定的な証拠はなく、本人のミイラの特定がなされた今、今後の研究が待たれているようです。



このアクエンアテンが治世4年目に行った宗教改革は、世界初の一神教、アテン教への改宗、首都テーベからアマルナへの遷都、周辺諸国への戦闘のための遠征の中止など、古代エジプトをそれまで支えてきた土台を根本から覆したものでした。
アクエンアテンは、戦闘を嫌い、家族を愛し、おだやかな日常を大切にしました。その仲睦まじい様子は、当時の壁画にも残されています。
ただ、彼の愛は自分の廻りや家族のみに向けられており、王が兵を率いて遠征をしなくなり、周辺諸国からの税が入らなくなった一般の民の暮らしはひどくなる一方でした。やがて、アクエンアテンが亡くなった後に、男の子のいなかった王妃ネフェルティティは、アクエンアテンの側室キヤから引き取ったツタンカーメンと、自分の三女のアンケセナーメンを結婚させました。ツタンカーメン10歳、アンケセナーメン12歳。異母姉弟同士の結婚です。

政略結婚のような形で夫婦になった二人でしたが、夫婦仲は良かったようです。
今回の展覧会の展示物、黄金の厨子の側面に描かれた絵には、ツタンカーメンがアンケセナーメンの手に香水をかけてやっているシーンやその他、2人の仲睦まじい様子が多数、描かれています。また、ツタンカーメンが子供の頃に遊んだであろうゲーム(さいころ)なども展示されていました。

黄金の厨子
              さいころ 
 
                   ツタンカーメンとアンケセナーメン




ツタンカーメンの妻、アンケセナーメンの彼への愛情は、彼女がツタンカーメンの棺に手向けた花輪を見ても伺い知ることができます。同時にその矢車菊で編まれた花輪からツタンカーメンが亡くなった季節は12月か1月と推測することができます。なぜなら、当時のエジプトで矢車菊が咲くのは、3月から4月。ミイラ作りに必要な70日を逆算すると……というような訳です。

仲の良い2人にも、哀しい出来事もありました。アンケセナーメンの2度の流産です。

ツタンカーメンの棺には2つの小さな子供のミイラが同棺されていましたが、その中の1つはDNA鑑定でツタンカーメンの娘であることが判明しています。(もう一つは、防腐剤の影響によい測定不能)ただ、この子供のミイラは流産しなければ、奇形として生まれてきたであろうことが分かっています。近親婚を繰り返す当時の習慣がこのような結果になってしまったのかもしれません。


ツタンカーメンの子供の木棺


上記は展示物のほんの一部なので、ここで、その他の私が印象深かった物をおおまかに紹介します。


  アンク型祭具 アンクは”生”を表し、これを祭る者は1度だけ生き返ることができると信じられていました。


 有翼スカラベ付胸飾り
 古代エジプトでは、スカラベは再生や復活の象徴である聖なる甲虫とされていました。


 ツタンカーメンのシャブティ
 蘇った時に王が困らないように召使の形をした像を一緒に埋葬しました。


 ツタンカーメンのカルトューシュ カルトゥーシュとは、王の在位年と名を記したヒエログリフ(絵文字)です。ツタンカーメンのカルトューシュには、ツタンカーメンの即位名(ネブ・ケペル・ラーと読む)と幸せの象徴ケペル(別名スカラベ)が意匠として示されています。




 王家の谷から発掘された数々の副葬品は、直接には私たちに何も語ってはくれませんが、それらは、歴史の謎を紐解こうとする研究者たちを介して、古代エジプトにすでに確立されていた高度な技術や、複雑に絡み合った政治的背景、当時の王の家族を取り巻く愛情や陰謀までもを後世に伝える役割をはたしてくれています。
 現代の日本にいながらにして、古代エジプトを彩った素晴らしい歴史に触れることができる。ツタンカーメン展は、そんな貴重な時間を観覧者に与えてくれるのかもしれません。

コメント

No title

最高です! この日記によりあの日の記憶がすっきり整理されました。
アンク型も、ツタンカーメンの絵文字も・・・!
これを読んだ今、もう一度ツタンカーメン展に行きたくなりました。

No title

私も書いてて、もう1度観たいなぁって、思ってしまいましたよ。ああ、そういえば、ネットで絵文字”ヒエログリフ”の読み方なんてHPも見つけましたよ。今度、勉強会しましょうか(笑)履歴書に特技は”ヒエログリフの読解”って書けるようになりますよ!
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kazanasi

Author:kazanasi
絵画、小説を中心に観たり読んだり、自作で作ったり。サブカル全般に興味があります。暖かい時期には山登りもします。アナログとデジタルの間を行ったり来たりしてる人間です。


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