エル・グレコ展へ行ってきました


2/23(土)に上野の東京都美術館にエル・グレコ展を観にゆきました。天気は快晴。入場した午前10:00の混み具合は適度で、閑散としていることも込み合っていることもなく、絵を観るには心地よい環境でした。

*エル・グレコ(El Greco、1541年 - 1614年4月7日)は、現在のギリシア領クレタ島、イラクリオン出身の画家。イタリアからスペインに渡り、名をはすが、マニエリスム後期の最大の巨匠として知られる。
マニエリスムとは、ルネサンスからバロックへの移行期に興った芸術様式。
錯綜した空間構成、非現実な色彩法、幻想的寓意性を特色とする。エル・グレコの長く引き伸ばした人体の描き方はその最たるものである。
画家のみならず、祭壇画、建築家としても活動したエル・グレコは、借金をしてまで工房の設備を整え、同じ絵を大量生産して売り出すなどの現在の企業家のような活動までしている。


というわけで、今回の展覧会にはエル・グレコの多彩な才能をあらわす51点の作品が展示されていました。その中で、私が好きだったものを紹介したいと思います。

「白貂(しろてん)の毛皮をまとう貴婦人」1577-90年ごろ


*この絵は、エル・グレコの愛人で、職人家庭の出身であるヘロニマ・デ・ラス・クエバスといわれてるが、モデルが誰であるかはいまだに分からない。

とても美しい肖像画ですが、かなり他の絵とはタッチが違っています。この絵は他の画家によって描かれた物をエル・グレコが模写したものとも言われているようです。昔のハリウッドの女優さんのようですね。

「福音書記者ヨハネ」1607年頃


*キリストの12使途の中でも最も若く、キリストが一番愛したとされる弟子。キリスト磔刑図においては、伝統的にイエスの母マリアとヨハネを左右に配する構図が存在する。
イエスの墓が空であることを聞いてペトロとかけつけ、真っ先に墓にたどりついたのもこの弟子である。また、ヨハネは使徒たちの中で唯一殉教しなかったとされる。

画中に彼が持つ杯には、毒蛇がはいっており、神への信心を試されたヨハネが毒杯を飲んでも、神に守られ死ななかったという逸話があります。若々しく誠実なヨハネの視線や表情。エル・グレコが描いた彼の肖像画からは、一糸乱れぬ、キリストへの信心を感じさせます。顔の左半分が必要以上にひしゃげた風に描かれていて、それが表情に躍動感をもたせていました。これが、マニエリスム効果ってやつでしょうか。


「燃え木で蝋燭を灯す少年」1571-72年ごろ


少年の手元ですられた木から燃え上がる炎が、彼の顔を徐々に明るく照らし出してゆく様を見てとれるような絵です。大きなテーマを持つ宗教画とは、また別の味わいのある作品。


「悔悛するマグダラのマリア」1576年ごろ



*イエスによって自らの罪を諭され、悔悛するマグダラのマリア。
ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノの描いた≪悔悛するマグダラのマリア≫との幾つかの類似点も指摘されている。
アトリビュート(その人物が誰であるか知るための目印となる持ち物)は髑髏の他、イエスの足に塗ったとされる香油や十字架像などが挙げられる。着衣は誠実を示す紺色で描かれた。


ティツィアーノによる「悔悛するマグダラのマリア」


視線の取り方や、天に何かを乞うような表情が、ティツィアーノの作品とよく似ています。でも、エル・グレコのマグダラのマリアの方が、若くて可愛かったりしますね♪

「福音記者ヨハネのいる無原罪のお宿り」1595年ごろ


エル・グレコの描くマリアは本当に可憐で可愛い。今の日本のアニメの絵としても通用しそうな絵です。あまりに可愛いのでこの絵は絵葉書購入!

「フェリペ2世の栄光」1579-82年ごろ


*画面上部の天上に、光輝く≪IHS≫は、ラテン十字に、ラテン語の組み合わせ文字(モノグラム)で≪JHS(Jesus Hominum Salvator=イエス、人類の救済者)≫を意味している。
上部には罪無き人々を天上へと導く天使、画面下部左には救済を求める人類と、後景に神へ祈りを捧げる預言者、画面下部右の鯨のような生物の口の中には地獄へと落とされる罪人が描かれた。

画面下の黒いマントの男性がフェリペ2世だと言われているが、彼は、スペイン帝国・スペイン黄金世紀最盛期の国王で、絶対主義の代表的君主の一人とされ、「異端者に君臨するくらいなら命を100度失うほうがよい」と発言したほどのカトリック信者。


「受胎告知」1576年ごろ


*エル・グレコは4枚の「受胎告知」を描いているが、これは1576年ごろの作品。
告知の大天使、ガブリエルは錫杖を持ち、その手の斜め上には精霊の鳩。キリスト受胎の告知を受けるマリアは、誠実を示す青の衣装をまとい、その表情は驚きに満ちているものの、可憐で静謐。にしても、ガブリエル、イケ面だなぁ♪

エル・グレコの絵の中でも、受胎告知は私の1番好きな作品です。下の1600年ごろに描かれた「受胎告知」はさらに技巧や色彩が冴えわたり、彼の特徴である長く引き伸ばした体躯や構図が、天まで届きそうな空間の広がりを高めています。

「受胎告知」1600年ごろ


*マニエリスム最後にして最大の巨匠エル・グレコ後期を代表する傑作といわれる「受胎告知」。マドリッドのドーニャ・マリア・デ・アラゴン学院の大祭壇衝立下段中央部として制作されたこの絵に描かれるのは、大天使ガブリエルから父なる神の意志により神の子イエスを宿す聖なる器として聖胎を告げられ、それを静粛に受ける聖母マリア。

大天使ガブリエルは、告知の天使で、一般的に白の服を着ている者が多いのですが、上の絵は全身、緑の服っていうのもチャレンジャーだなぁと思ってしまいます。このガブリエルの手のポーズは従順を表しています。下のレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」と比べたり、他の画家の作品と比べたりしても面白いです。ちなみにダ・ヴィンチの方のガブリエルの手は告知のポーズをとっています。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」
davinci_annunciazione_u00[1]1

こちらのガブリエルは女性でしょうか。マリアの顔の雰囲気も随分ちがいますね。

「聖衣剥奪」
el03[1]11


*キリストが磔刑になる前に、兵士たちによって、衣服を剥がされた場面を描いた作品。マリアが三人登場していること、キリストの頭が兵士たちより下に描かれ、神を愚弄しているなどの理由から、絵の報酬を払えないとスポンサーの大聖堂側と裁判で争い、報酬の面で(要求額の1/3)エル・グレコが妥協したという経緯がある。
イエスが自ら運ばされた磔刑に使用される十字架を見つめる3人のマリアは左から小ヤコブの母、聖母、マグダラのマリアと解釈されているが、異論も多い。


「無原罪のお宿り」



*347cm × 174cm の大カンヴァスに描かれた作品で、エル・グレコ美学の結晶を散りばめた最高の作品と言われている。
無原罪のお宿りとは、アダムとイヴより受け継がれし原罪、その汚れを一切受けることなく、母アンナの胎内に 宿りし時より無原罪の存在として神の恵みを受ける聖母マリアのこと。


天上には、聖霊による懐胎を象徴する白いハト。聖母マリアは天の愛情を表す赤い色の衣服に静謐を表す青い腰布を纏っている。周囲には天上のオーケストラが配置され、神と聖母マリアへの賛美を高らかに奏でている。
最下部のトゲのない赤いバラと白い百合の花は、聖母マリアのアトリビュートとして知られ、それぞれ母性と純潔を象徴している。

うねるような構図と、色彩、縦長に天に伸びてゆくマリアの肢体は、圧倒的な迫力と感銘を観覧者に与えています。床にかがんでみてみると、さらに迫力は増して、観ている自分でさえも一緒に天に昇ってゆきそうな気にもなってしまいます。もし、展覧会場に行かれる機会があるなら、ぜひ、下からこの絵を観てみてください。

下から観た「無原罪のお宿り」

コメント

Secret

プロフィール

kazanasi

Author:kazanasi
絵画、小説を中心に観たり読んだり、自作で作ったり。サブカル全般に興味があります。暖かい時期には山登りもします。アナログとデジタルの間を行ったり来たりしてる人間です。


【kazanasiの本】




その他の童話、推理、ファンタジー作品

最新記事

カテゴリ

月別アーカイブ

最新コメント

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム