弥生美術館・竹久夢二美術館


 6/29(土)に東大、弥生門近くにある(ちなみに東大には門が9つあります)弥生美術館・竹久夢二美術館へ行ってきました。
 弥生美術館は、高畠華宵を始めとする明治、大正、昭和を彩る挿絵画家の作品と当時の美術作品を展示。竹久夢二美術館は、画家、詩人など多彩な才能を発揮した竹久夢二の〈夢二式美人画〉から、モダンな表現を試みたデザイン作品まで幅広い展示がなされている都内では唯一、夢二作品を観覧できる美術館だそうです。
 入口は、こじんまりしたいい感じの作りです。入口の横には夢二の作品のレリーフがありました。

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ちなみにこの2館は併設されていて、1枚のチケットで見れるのが魅力です。私は、面白くて、2館を結ぶ渡り廊下を行ったり来たりしてしまいました。


弥生・竹久夢二美術館の見取り図。行ったり来たり。
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 6/30で終了してしまったのですが、この日、私が見た企画は、

「魔性の女」挿絵(イラストレーション)展
  -大正~昭和初期の文学に登場した
                妖艶な悪女たち-


と題した、いわゆる西洋画の”ファムファンタル”=”魔性の女”をテーマとした作品を集めた展覧会で、怖く妖艶、そして美しい作品の勢ぞろいで、なかなか見応えがありました。

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特に興味を引いた画家と作品をいくつか紹介すると、

橘小夢(たちばな さゆめ):
1892-1970 大正-昭和時代前期の挿絵画家。
明治25年10月12日生まれ。洋画を黒田清輝(せいき),日本画を川端玉章にまなぶ。雑誌や小説の挿絵を中心に,版画,日本画を手がける。民話,伝説をモチーフに女性の魔性を表現,たびたび発行禁止処分をうけ,「幻の画家」とよばれた。

 玉藻の前                 刺青 谷崎潤一郎の小説がモチーフ  水魔
ph_1304_1.jpg ph_1304_2.jpg 橘小夢/画「水魔」

                   嫉妬
                 橘 小夢, “嫉妬

とくに上の「嫉妬」は、”本妻と側室が一見仲良さそうにゲームを楽しんでいるが、心の奥底には激しい嫉妬の情が渦巻いている”という解説があり、二人の女のどろどろした感情がこちらにも伝わってくるようで、本当に怖かったです。でも、この絵の線の描画の美しいこと! 本当に妖艶な魅力がありました。


高畠 華宵(たかばたけ かしょう):
1888- 1966 大正ー昭和初期の挿絵画家。ピアズリ―などの影響を強く受け、『少女画報』『少女倶楽部』『少年倶楽部』(いずれも講談社)『日本少年』『婦人世界』(いずれも実業之日本社)などの少女向け雑誌や少年雑誌、婦人雑誌などに挿絵として描いた独特の美少年・美少女の絵や美人画は一世を風靡し、たちまち竹久夢二らと並ぶスター画家となった。

弥生美術館は、創始者、鹿野琢見が9歳の時に華宵の絵を見て感銘を受け、その時の感動を綴った手紙を華宵に送ったことを切っ掛けに二人が親睦を深め、鹿野が華宵の死後に著作権を得たことを受けて創設した館でもあるそうで、華宵の作品を多く所蔵しています。
         
       人魚
 この「人魚」という作品は、西洋の絵本の挿絵のようで、私は1番好きな作品でした。この華麗な背中の反り具合と水にたゆとう髪。
 この絵の人魚は、可憐な感じがして悪女というイメージではありません。けれども、ローレライやセイレーンといった伝説では、人魚はその美しい歌声で船人を海に引きずり込むのですから、やっぱり悪女なのでしょうね。


薔薇の夢                             情炎        
高畠華宵 《薔薇の夢》 img_646024_24546620_0.jpg

この他にも、泉鏡花「高野聖」の女、谷崎潤一郎「痴人の愛」のナオミ、江戸川乱歩「黒蜥蜴」(くろとかげ)の緑川夫人など、沢山の官能的で怖いけれど、魅力的な女性たちの挿絵が展示されていて、鑑賞者たちを甘美な毒気に酔わせるようでした。

   黒蜥蜴のポスター                        伊藤彦造画 砂絵呪縛  
  kurotokage.jpg    「砂絵呪縛(すなえしばり)」伊藤彦造


                  水島爾保布画 人魚の嘆き

                 「人魚の嘆き」水島爾保布/画 


 さて、弥生美術館を経て、渡り廊下の向こうの竹久夢二美術館では、

 竹久夢二 美人画とモデル展
    ―描かれた女性の謎と
            ロマンスに迫る―


 を開催していました。ここでは、夢二が描き残した美人画の制作に当たって大きな影響を与えた、三人の女性、岸たまき・笠井彦乃・佐々木カ子ヨ(お葉)をクローズアップして、彼女らを描いた絵ともに、夢二の恋愛模様や理想とした女性像についての紹介がされていました。


まず、竹久夢二のプロフィールはこんな感じです。

竹久 夢二(たけひさ ゆめじ):
(1884 - 1934)は大正浪漫を代表する画家で日本の画家・詩人。本名は竹久 茂次郎(たけひさ もじろう)。

 数多くの美人画を残しており、その抒情的な作品は「夢二式美人」と呼ばれ、「大正の浮世絵師」などと呼ばれたこともある。また、児童雑誌や詩文の挿絵も描いた。文筆の分野でも、詩、歌謡、童話など創作しており、なかでも、詩『宵待草』には曲が付けられて大衆歌として受け、全国的な愛唱曲となった。また、多くの書籍の装幀、広告宣伝物、日用雑貨のほか、浴衣などのデザインも手がけており、日本の近代グラフィック・デザインの草分けのひとりともいえる。

岸他万喜(きし たまき):
1882ー1945
夢二の生涯のうちで唯一戸籍に入った女性。〈夢二式美人画〉は「大いなる眼の殊に美しき人」といわれた「たまき」をモデルにして生まれた。
 夢二が彦乃を知った後に、たまきと画学生東郷鉄春(青児)との仲を疑い、富山県の海岸で夢二がたまきの腕を刺すことによって破局を迎え離婚。だが、その後数年間にわたって同居と別居をくり返す。また、たまきは結核療養中の夢二を信州まで見舞い、夢二亡き後も終生彼を慕い続けたという。気が強く、後には、夢二デザインの小間物をあつかう「港屋絵草紙店」の女店主となる。

         
        岸たまき                岸 絵
        岸たまき                         たまきの横顔 感じが出てますね。



笠井 彦乃(かさい ひこの):
1896-1920
日本橋の紙問屋の娘として裕福に育ち、女子美術学校の学生であった。夢二のファンであり、絵を習いたいと「港屋絵草子店」を訪問し、交際が始まる。
たまきと別れ京都に移り住んだ夢二としばらく同棲するが、九州旅行中の夢二を追う途中、別府温泉で結核を発病。父の手によって東京に連れ戻され、夢二は本郷菊富士ホテルに移るが、面会を遮断される。御茶ノ水順天堂医院に入院した彦乃は、わずか25歳で短い人生を終える。
夢二は、その死後しばらくショックから立ち直れなかった。「彦乃日記」をのこす。
 夢二の『秘薬紫雪』は夢二と彦乃がモデルであり、まさに美人薄命で、夢二の心に永遠に残る人。

                                      笠井彦乃
                                     笠井彦乃
              夏姿 彦乃
               夏姿  何か可愛い!

お葉:1904-1980

戸籍名は佐々木カ子ヨ(かねよ)「お葉」は夢二による愛称。
上京後、東京美術学校のモデルとして人気があった。藤島武二、伊藤晴雨らのモデルをつとめた後に、菊富士ホテルに逗留していた夢二のモデルとして通ううちに同棲、渋谷(現在の渋谷ビーム、同地に石碑あり)に所帯をもつ。1924年、夢二が設計した世田谷「少年山荘」に一緒に移り住んだ。一児をもうけるが夭折。翌14年に、彦乃のことを忘れなれない夢二を嘆き、お葉は自殺を図り、半年後に別離する。後、医師と結婚し主婦として穏やかな生涯を過ごした。
有名な夢二作品、『黒船屋』はお葉をモデルとした。


                                      お葉
                                     お葉
                 お葉 絵
                 黒船屋  この”夢二美人”を代表する絵は、お葉がモデル


 こうして挙げてみても、タイプも性格も三者三様でとても興味深いですね。共通点はみんな美人!

        artist_ph.jpg              Yumeji_Takehisa.jpg
 
 しかし、上の左の写真! 若かり頃の夢二ですが、窓辺に座り、美人画の構図でも考えているのでしょうか。このナルシストっぽさったら!(笑) 夢二自身も、彼の絵になりそうな美青年だったんですね。ちなみに右の写真は少し後の夢二。いつも、憂鬱そうなポーズをとっていますね。


 その他の作品のうちの何点かを紹介します。モダンなタッチの絵もあって、夢二ワールドは素敵でした。

雪の風
  冬の風

エイプリルフール
  エイプリルフール

   初春      「水竹居」
    初春                               水竹居



「宵待草」原詩 

 遣る瀬ない釣り鐘草の夕の歌が あれあれ風に吹かれて来る
 待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草の心もとなき
 想ふまいとは思へども 我としもなきため涙 今宵は月も出ぬさうな 


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■所在地:弥生美術館 〒113-0032 東京都文京区弥生2-4-3 TEL 03(3812)0012
       竹久夢二美術館 〒113-0032 東京都文京区弥生2-4-2 TEL 03(5689)0462

■開館時間:午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
■休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、展示替え期間中、年末年始
■入館料:一般900円/大・高生800円/中・小生400円

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・地下鉄千代田線「根津駅」1番出口より徒歩7分
・地下鉄南北線「東大前駅」1番出口より徒歩7分
・JR「上野駅」公園口より徒歩25分

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Author:kazanasi
絵画、小説を中心に観たり読んだり、自作で作ったり。サブカル全般に興味があります。暖かい時期には山登りもします。アナログとデジタルの間を行ったり来たりしてる人間です。


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